りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

銀行はなぜ変われないのか

池尾和人先生の「銀行はなぜ変われないのか」を読みました。この本は2003年の本なんですね。昔、といっても2003年ではなかったと思いますが、一度読んだものですが、ある人から薦められて、というより、薦めてくれたその人の思いを少しでも理解したいと思ったので、本棚の中から探してきました。いろいろな思いが詰まっている本なのだと思いますが、この本でノートしなければならない中心は3章と4章かなと思います。「はじめに」で池尾先生自身が述べているように、これらの章は日本の金融問題を根っこから解決するために、金融システムのアーキテクチャーの変更と銀行のビジネス・モデルの変革が必要であるという部分です。まず、3章「金融システムの中期ビジョン」から引用すると「根本的な解決は、金融システムの転換によって、迂遠的ではない、直接的な形での家計部門によるリスク負担を促進することである。すなわち、ミディアムリスク・ミディアムリターン商品を十分に信頼される形で提供することを通じて、家計に直接的な形でリスク負担してもらう方向に移行することである。」とのこと。この章でのポイントはGEキャピタルのようなノンバンク=ファイナンス・カンパニーの必要性ですね。4章は「後発国型銀行モデルからの脱却」ですが、従来の日本の銀行モデルを産業銀行型として、キャッチアップ型の経済発展においては、銀行の監視能力の有効活用と長期資金の創出という点で有効なビジネスモデルであったとするものの、経済発展段階が終わった段階ではミスマッチなビジネスモデルであると説明されています。そして、その段階ではリテール・バンクと投資銀行モデルこそマッチしているという説明です。で、わかっていてもビジネスモデルを変えられない理由として、「組織のプロセスや価値基準は硬直的で変えるのは難しい」という説明は肌感覚に合う説明でしっくりしました。最後に金融システム再建への提言として、より立体的で補完的な資本市場と金融仲介機関の関係を作り出すことしていましたが、これは投資銀行型のビジネスモデルの延長線で考えておけばよかったのでしょうか。個々にはわかったような気がしますが、総合すると、1)大企業は基本的に内部留保資金調達。足りない場合は資本市場で調達するが、金融技術の発達により調達の方法は様々。そこには機能分化して、より専門的な金融仲介機関がこれをサポートする。2)個人や中小企業(および大企業の運転資金)はリテール・バンクを利用。ただしこのリテールバンクはGEキャピタルのような優良なノンバンクを含み、ローリスク・ローリターン、ミディアムリスク・ミディアムリターン、ハイリスク・ハイリターンの品揃えを高い品質で提供し、効率化により廉価に提供するという姿でしょうか。1)と2)の利用者の区分けは、金融技術の進化とIT技術の進化により、曖昧なのかもしれません。

銀行はなぜ変われないのか―日本経済の隘路

銀行はなぜ変われないのか―日本経済の隘路

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