朝井リョウさんの「何者」を読みました。映画は見たのだけど、そして映画は原作に忠実だったなと改めて思いました。シューカツ、自分の時とは時代も違うし、理系院卒というのはシューカツに関していえばそんなに困らない。そういう意味では、きちんと理解できない部分はあるのだけど、この作品のポイントはシューカツという活動の中でつくられた自分を演じるということにあり、シューカツという世界では、ダメでも何らフィードバックがないため、何が良くなかったのかが分析できないこと。もちろん、シューカツに限らず、社会で生きるということはそういうことが、多々あることでもあるのだけど、シューカツというのは、そこのところをギュッと凝縮しているようなところがあって、ドラマになるのかなと感じました。光太郎の話の中に「俺って、シューカツが上手いだけなのかもしれない。」というのがあるのだけど、それは確かにそういう一面はあるのだろうなと思ったけど、それは実はすごく大事なことなのだと思いました。初対面の相手にきちんと自分の考えを伝えられる。もっというと、それまでのプロセスの中で「話を聴いてみよう」と感じさせる振る舞いができること。伝えるべき何かを持っていること。そして、相手の印象に残る何かを伝えられたこと。あるいは不快な何かを感じさせなかったこと。それは、それで最も大切なことなんじゃないかなと思いました。良い作品だと素直に思いました。
[DATA]
今月の読書 1冊
1月からの読書 38冊