相澤先生の「東大のディープな日本史」に続く「ディープな戦後史」。「東大の」がつかない理由は一ツ橋大学の入試問題だから。東大の入試には戦後史は出ないという特徴があることから、戦後史は一ツ橋大学から選択というと簡単だが、まえがきにあったように一ツ橋大学の日本史は想像以上にラジカルでした。「大学入試で読み解く『超』世界史・日本史」にも一ツ橋大学の問題があって、それはある程度理解していたものですが、確かにかなり骨太。歴史を学ぶことの認識を根底から考えさせなおされる問題といえば大げさか。戦後史ということもあって、ここで起こった事実、ここでなされた決断が今に続いていて、今を作っている点でとても衝撃的でした。この歴史の問題には、倫理社会や政治経済、さらに地政学といった問題を含めた総合問題としての「社会科」があるような気がしました。受験の時からこうした学びをし、さらに大学の研究としてそれを昇華させるとどういう研究になるのか、改めて興味を持ちました。佐藤優さんが良く「高校の参考書」について触れているが、きちんと学ぶと半端でない奥深さがあるんですね。本当に今さらながら、歴史を学ぶことの奥深さを感じました。
この本の構成は、1)占領下の日本、2)保守政権の誕生、3)高度成長期の内政と外交という3部構成に加え、補論として「戦時体制」から「戦後体制」へという4章立てで、どれも興味深かったのだけど、やはり高度成長期の内政と外交は自分が生きていた時代とも重なり、田中角栄という存在もあって、とても勉強のし甲斐がありました。ぜひ再読して、自分の血となり肉としたいと思います。
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今月の読書 9冊