塩野七生さんの「日本人へ −国家と歴史編−」を読みました。本日は名古屋へ出張。本来なら、日経ビジネスと日経ヴェリタスを持って出かけるつもりが、家に忘れた。というわけで、READERにダウンロードしていたけど、読んでいなかったこの本を読む機会に恵まれました。そういう意味でも、READERはいいです。今までなら、駅の本屋でしっくり行かなくても本を買い、「あ〜!やっぱり自分の趣味じゃなかったな」なんてこともありましたが、READERを持っていればそういうことも無く、少なくとも自分の趣味で買っておいた本が手元に必ずあるという利点が有ります。それに・・・最近ノート機能を使えるようになりました。何のことはなく、マーカーしたところが一覧で検索できる仕組み。当然、タップすれば、そこに飛んでくれる。つまり、読了したらノート一覧を確認し、必要に応じて再読する。それに、普通の本の場合は、マーカーは消せないが、READERは全然問題ない。ゆえに、一度ラインを引いても、後ろに同様の意味でもっと上手にまとめられている箇所があれば、こちらにマーカーを引きなおすことが可能。やはり、本もいずれはディジタル化していく運命なのかなと思ってしまいました。
さて、この本、文藝春秋の2006年10月〜2010年4月号までに連載されたコラムがベースのようで、内容的には古いところもありますが、日本を外から見ているからか、あるいは歴史家の目線で見ているからか、非常に的を得ているコメントが多いように感じました。ノートした中でいくつかピックアップ。1)欧米的とは、「法」つまり共生する場合に必要な「国際ルール」を尊重しあうことだ。2)歴史上の国家や民族の衰亡も、指導者が腐った結果で、一般の庶民はその後もしばらくならば健全を保つ。3)知的労働者というのはオカシナ種族で、カネや地位よりも、チャンスで動く人たちなのである。歴史を眺めていて、その国が興隆期に入ったと判る現象は、知識人の動向にまず表れてくる。4)危機を打開するには、何をどうやるか、よりも、何をどう一貫してやりつづけるか、のほうが重要です。5)自分で自分を守ろうとしない者を誰が助ける気になるか。6)もしも外国人の誰かが日本の歴史を書くとしたら、個々の分野では才能ある人に恵まれながらそれらを全体として活かすことを知らなかった民族、と書くのではないだろうか。ほんとうは、それこそが政治の役割なのだが。7)文明とは歴史がしょうめいしているように、異分子が加わることによって生ずる幾分かの拒絶反応を経験して初めて、飛躍的に発展するものなのである。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/06/17
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (51件) を見る
今月の読書 7冊
1月からの読書 35冊
名古屋はすごい雷でした・・・