りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

昭和史入門

保阪正康さんの「昭和史入門」を読みました。昭和を前期(〜終戦まで)、中期(終戦から昭和27年4月28日、日本が占領から開放され独立を回復した日まで)、後期(それ以降)に分類して、それぞれ、「軍事主導体制の崩壊」「再生日本と新生日本の対立」「経済大国の表と裏の構図」と時代タイトルをつけている。印象的な点として、昭和を代表する首相を各時代に一人ずつあげているところがある。東条英機吉田茂田中角栄。このうち、田中角栄について、以下のように記述している。「田中角栄という人物は、固有名詞であると同時に普通名詞の意味を持っている。具体的にどういうことか。この人物は昭和という時代を貫く一本の芯である。『経済を発展させ、物量を満たすことによって人間の幸福が得られる』という人生訓を代表した生き方をしている。つまり庶民の持つ欲望、あるいは功名心などをこの人物は代表し、それに恥らうことなくあからさまにし、そしてそれに基づいて行動を見事なまでに示して生きた存在だ」まさに田中角栄は戦後日本の高度成長そのものなんだなと思う。
私にとっての昭和のイメージは前期。せめて東京裁判まで。その中で、保坂さんは太平洋戦争の原因あるいは本質について、以下の5点にまとめている。1)日中戦争の延長として太平洋戦争は起こっている、2)政治指導者はこの戦争についてはほとんどといっていいほど関わっていない、3)戦争目的は自存自衛のみでそれ以外の目的は掲げていない、4)軍事指導者は明確な戦略をもっていない。つまり戦争終結構想をもっていない。5)軍事指導者のみが前面に出た戦争であった。特に2)と4)は重要だと思う。統帥権干犯という恫喝を恐れて、政治家たちがまったく口をはさむことができなくなり、本来果たすべき政治的役割を放棄し、軍事指導者のなすがままの状態であったこと。そして、その軍事指導者達には具体的な戦略が無かったという事実。まあ、今更なんですが、あきれた状態ですね。でも、何よりもそこにいたる経緯が重要だと思います。
あとひとつ、なぞが解けました。東京裁判。軍令の側、たとえば陸軍では開戦時の参謀総長である杉山元をはじめとする参謀総長体験者や次長田辺盛武、塚田攻などはA級戦犯に指名されなかったこと。開戦時の陸軍省軍務局長武藤章が被告であるのに、参謀本部作戦部長の田中新一が被告でなかったこと。明らかに軍令ではなく軍政を裁く意思が見られるわけですが、実はこれは「統治権の責任は問わない=天皇を裁かない」という意思の公示だったんですね。初めて知りました。

昭和史入門 (文春新書)

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2008/11/03セミナー終了後の活動

1)Photo Readingのみ 8冊(2冊×4回)

2)PR+活性化 14冊