今週号の東洋経済でも「嗚呼、地銀再編の号砲が鳴る」という特集が組まれた。主旨は先日のダイヤモンドと同じ。足下の収益が良くても、人口減少、高齢化、ゆうちょ銀行の攻勢さらには金融緩和などで地銀の収益悪化は必至とのことから、地銀再編の可能性が高まるというストーリーだ。特集の目玉は、再編必要度ランキング。預金の平均残高、自己資本比率、コア業務純益の伸び率、総資金利鞘、金融再生法開示債権比率の5指標をベースに都道府県別の人口見通しを加味してスコアリングしたものらしい。結果に違和感はない。九州や中国・四国、東北の地銀、特に第二地銀が上位に来ている。これは、誰がやっても同じかな。ただ、本当に再編かというところで、面白い考察があった。信用金庫の合併事例の分析として、合併後に収益力が改善した信用金庫は、貸し出し利鞘が改善し経費率の削減が進んでいる。また、預金・貸出金とも合併後にボリュームが低下する中で、貸し出し利鞘が拡大している。合併金庫同士の距離が近いほど、重複店舗の統廃合などによって経費を削減できることや、合併によって競合が緩和されることで貸し出し利鞘の改善が可能となるためと考察されている。一方、合併後に収益力が悪化した信用金庫は、預金残高を増やした割には貸し出しが伸びず、預貸率が低下したほか、貸し出し利鞘も悪化しているということだ。すごく単純にこれを解釈すれば、合併後さらなる拡大を目指した場合は、競争環境をさらに悪化させ、収益性を改善することは出来ない一方で、競合金融機関が合併し、市場を適正規模(縮小)に保ちながら経費率を削減したところは収益性を改善しているということじゃないだろうか。当たり前のことかもしれない。マーケット自体が縮小しているのだから、1+1=1.5くらいのつもりで縮小していくべきということなんじゃないかと言うことじゃないだろうか。そうだとすると、常陽銀行の寺門頭取の発言にあるように、企業としてはスコープメリットという形で、提供サービスの拡大を指向するというのが正しい方向なのかもしれない。静岡銀行の中西頭取の戦略も基本的にはスコープメリットの拡大。ただ、本当に商業銀行がスコープを拡大して良いのかなというのがまた別の疑問。規制産業であり規制に守られているからこそ、出来ないこともある。普通の企業と同じようにはいかないところもある。ここが更なる問題なんじゃないだろうか。