村上龍さんの長編小説「心はあなたのもとに」を読みました。解説で小池真理子さんが述べているように「この小説は村上龍さんにとってはほとんど珍しいほどの純愛小説でありながら恋愛の渦中にある五十代男性の優れた自己分析の書」なんだろうなと思いました。主人公は西崎という50代の男性。インディペンデントの投資家で経済的にはかなり恵まれている。仕事には家庭の安定が重要であることを十分すぎるほど知っていて、家庭を大事にする一方で経済的な余裕をベースに女性には不自由しないような生活をしている。その彼が風俗の女性に真剣に恋をする。しかも彼女は1型糖尿病という難病を抱えている。自分とは全然違うのだけど...違いすぎるほど違うのだけど何だか凄く西崎の気持ちが自分の中に響いてくる小説でした。カンブリア宮殿ではいつも鋭い視線で「Ryu's eye」を披露してくれる村上龍さんですが、その観察眼と分析力はさすがとしか言いようがないものでした。とても記憶に残る一冊となりそうです。
- 作者: 村上 龍
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/04/13
- メディア: 単行本
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