りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

箱の中の羊

家族のあり方を常に問うてきた是枝監督が今回選んだテーマはヒューマノイド。巨人の阿部前監督が娘への暴行で逮捕され、不起訴処分にはなったものの、監督辞任に追い込まれた。暴力は勿論良くないが、娘がChat GPTに相談したことで、家庭内の親子喧嘩が、世間を騒がし、父親を辞任に追い込む事件に繋がった。生成AIはいつでもどこでも傷ついた人、悩みを抱える人に優しく寄り添ってくれる。どんな質問を投げても必ず答えを返してくれる。亡くした子供の記憶をもったヒューマノイドは、傷ついた母親に優しく寄り添ってくれる。教えたことをしっかり覚えてくれる。まるで興味をもって、のめり込んだように次々と知識を吸収する。その知識欲が、自分の専門分野に入ってきた時、有望な弟子にも見える。ただ、そこに感情は無い。痛みも、嗅覚も、味覚も無い。だから、どうでも良い問いに対する、無機質で正確な答えは、とても違和感を感じる。ヒューマノイドという箱の中に入った、人間=感情。問いかける人たちは、どんな振る舞いを想像し期待しているのか。心の隙間を埋めてくれるものの、どこか違和感が残る振る舞い。

今回は大吾の演技が予想外に良かった。自然体でそこにいる大吾が最初は受けつけなかったヒューマノイドに対し、自分の仕事に興味を持ってくれるような振る舞いを見るにつけ、次第に親しさを感じるようになる。無機質なヒューマノイドに感情を持つようになる。そういう意味では、人間から独立しようとするヒューマノイドに感情が宿ったように感じた。それは、本当に感情をもったAIなのか、対する人間の想像力なのだろうか?