木村拓哉さんの作品の割に劇場には年配の夫婦が多かった印象。山田洋二監督だし、倍賞千恵子さんとのW主演、映画のスタートが柴又帝釈天であることから、嫌でも寅さんシリーズが連想され、そういう世代がこの映画を見るのかも知れない。
壮絶な過去を経験しながら、刑務所での服役を終えて出所した後、一念発起で事業を成功させたものの、彼女の周りに愛すべき人たちはいない。病気を抱えて、施設への入所を決め、入所するその日に、たまたま乗ったタクシーの運転手に自分の歴史と日本の歩みを語りながら、最後に少しだけ幸せな時間を過ごす。タクシーの運転手は愛すべき家族をもって、娘からも愛されているけど、少しお金に困っていることまで話をする。こういう展開なら、間違いなく老女が運転手に経済的に援助するのは予想がつく。本当にそんなことあるのかな?ちょっと嘘くさいなと思いがどうしてもそのストーリーを否定してしまう。ただ、観終わって思ったのは、やっぱり幸せはお金では買えないってことなのかな。先日読んだ本にあったように、「金はいくらあっても困らないが、金だけで豊かな人生が手に入るわけではない」幸せは、半径3メートルの中の人間関係。死を目前にして、そうした人間関係を持てなかったとしたら、ひと時でもそれに近い経験をさせてくれた優しい人に自分の財産を譲って助けてあげたいと思うのは、ないこともないのかなと思いました。ただ、むしろ、人は時に大切な人の大切な時間を乱暴に扱い、時に奪ってしまうことがある。それは後悔しても後悔しきれない。むしろ教訓としてそんなことを感じました。
監督:山田洋二
脚本:朝原雄三
