河合薫さんの「『老害』と呼ばれたくない私たち」を読みました。サブタイトルの「『いい大人』でいようと無理していませんか?」はちょっとキャッチーでした。いつの頃からか、多分管理職になってからだと思うけど、発言しなくなったのは事実です。だから気になって、迷わずポチッとしてしまいました。
私たちは「家庭」「仕事」「健康」という3つの幸せのボールを持ち、どのボールも決して落とすことなく、ジャグリングのように回し続けてこそ、豊かな人生、幸せな人生が実現する。
1972年から約 40年間、研究の指揮をしてきたジョージ・バイラント教授は「幸せとは愛。以上!( Happiness is love. Full stop.)」とたった5つの単語で幸福な人生の方程式を表し、現責任者ロバート・ウォールディンガー氏らは、「健康で幸せな生活を送るには、よい人間関係が必要だ( The good life is built with good relationships.)」と研究を結論づけた。
「身近な人たちといい関係にある人」は生活の満足度が高く、「いざというときに頼れる人がいる」という人は、幸福感が高く、脳も元気で、記憶をいつまでも鮮明に持ち続けた。 50代のときに「いい人間関係」を持っていた人ほど、 80歳でも健康だった。特にパートナーと共に幸せを感じていた人は、 80代になって身体的な問題を抱えていても、「精神的には幸せ」と答えたという。
「私」という存在は、ただ一人で成り立っているわけではない。私たちの個性やあり方は、常に環境から大きな影響を受け、その影響力は想像以上に大きい。幸福な人生を送るには、「共同体の中にいる自分」を見つめる視点が不可欠だ。特に、中年期以降の人生には、極めて重要になる。
社会的評価は魔物だ。社会的地位に固執し「もっともっと!」と際限なく欲望を求めた途端、幸せは遠のいていく。
これらの結果をすべてひっくるめて導かれる答えは、「カネはいくらあっても困らないが、カネだけで豊かな人生が手に入るわけではない」という当たり前だ。
「家庭 =身近な人間関係」「仕事 =社会的活動」「健康 =生存に関わる問題」という3つの幸せのボールを持つ。どのボールも決して落とすことなく、ジャグリングのように回し続けてこそ、豊かな人生、幸せな人生、納得いく人生は実現する。
自分がある人は、自分を取り囲む環境と共存し、集団に埋没せず主体性を持ち続ける。他者を尊重しつつも自分の価値観を大切にするため、上手に折り合いをつけ自分が納得する選択に辿り着くことができる。このようにして、本来的な自己は心の土台を強化し、その土台がまた本来的な自己を支えるという好循環を生み出していく。
「内的な力」は5つのタイプと、それらの土台になる大きな力に分けることができる。①自己受容 =ありのままの自分を受け入れ、共存する力 ②人格的成長 =自分の可能性を信じ、学び続ける力 ③自律性 =自分の行動や考え方を自己決定できる力 ④人生の目的 =どんな人生を送りたいかはっきりし、目標を明確にする力 ⑤環境制御力 =どんな環境でもやっていけるという確信と、周りに影響を及ぼす力
5つの力を回す土台となるエンジンが不可欠だ。それが「積極的他者関係」、温かく信頼できる人間関係を築く力だ。
自分ではどうにもならない雨が降ってきたとき、「傘を貸してください」と手を伸ばす勇気と、差し出された傘を素直に受け取る勇気があればなんとかなる。
「積極的他者関係」こそが、人が生き抜くための底力となる証と言えよう。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」とは、プラグマティズムの提唱者の一人ウィリアム・ジェイムズの言葉だ。プラグマティズムは「理論や信念が真実かどうかは、それが現実世界で実際に役立つか、よい結果を生み出すかで判断されるべき」という考え方で、「病は気から」とか「気は持ちよう」といった、単に「こう思うと未来が変わる」という心持ちだけでなく、実際にその考え方を行動に移すことに価値を置く。
厳しい状況を乗り切る過程で、さりげない「利他心」を発揮すると自分に欠けている「内なる力」を強化し、心の土台を再構築する最良のチャンスになる。
他者を助けることで自己肯定感が高まり、感謝されることで自己の存在意義を実感できる。
愛をケチらず、ささやかな「愛」を惜しみなく表現することは、相手の心を温めるだけでなく、自分自身の心を満たす栄養剤になる。
「健全な心の土台」に従って働くことだ。それは、仕事の大小にかかわらず誰かの役に立つ喜びを感じたり、純粋に自分の心が満たされる選択をすることだったりする。
