村田沙耶香さんの「消滅世界」を読みました。精通もしくは初潮を迎えたら、人間は避妊手術を受け、妊娠は人工授精によって効率的に行われる。生殖と快楽が分離した世界では、夫婦間のセックスは近親相姦としてタブー視され、恋や快楽の対象は家族とは別の恋人やキャラになる。結婚は家族になることであり、家族は自らの遺伝子を未来に残す役割。そして、究極である実験都市エデンではその家族すらも否定し、家族によらない繁殖システム、集団でランダムに?選ばれた人間が人工授精で妊娠し、生まれた子供は家族ではなく都市全体で育てる形に移行する。ちょうど今週のドラマ「対岸の家事」ではエリートの中谷さんの発言では、恋愛感情ではなくお互いの価値観、生き方を重要視するために都合の良い相手(ある意味これも恋愛なんじゃないかと思うけど)と、ある種契約結婚的な結婚をしているということと、セックスは子供を残すための共同作業として割り切ってもいいというような発言があったけど、これを推し進めた世界でもある。中谷家の話は、結局そうじゃないと奥さんが否定。大事なのは家族だというところに落ち着いたけど、こちらの世界はそうではないみたいだ。ただ、実験都市エデンはある種の宗教を感じさせるし、人間そのものが工業製品になってしまったような世界も感じさせる。人間は一人一人が違って良いし、家族は特別な人間同士のつながりで有って欲しい。特別な個人を愛して、家族を作って、特別な存在としての子供たちがいる世界が、当たり前で有って欲しいと改めて考えさせる作品でした。
