有川浩さんの「空飛ぶ広報室」を読みました。面白かったです。そして、自衛隊に対する愛が感じられました。国民に誤解され、一部には疎まれている自衛隊と自衛隊員が厳しい訓練をして、有事に備えていること、理解されていないことを前提に、少しでも理解してもらおうとする広報活動。基本は心に深い傷を持つ主人公の空井大祐二尉とテレビプロデューサー稲葉リカの成長を縦糸に、自衛隊の広報活動を横軸に展開していく話です。この本、「空飛ぶ広報室」という章の終わりに一度finと書かれていて、もうひとつとってつけたように東日本大震災後の章があります。設定では、震災前に空井二尉が仙台に転勤になって、被災し、その1年後にリカが取材をかねてたずねていくというもの。自衛官は自らが、あるいは自分の家族が被災していても、その他の被害者のための救援を優先するという話です。あとがきに作者の有川さんが述べているように、出版直前に東日本大震災があって、急遽出版を先延ばしして、この章を追加することにしたようです。ただし、それだけの価値は十分あったように思います。東日本大震災での自衛隊の活躍はすべての国民に認識されていますが、その裏に、自分たちも被災者であったことや、自分や家族を優先して救助にあたったとこなどまったく気にもしていませんでした。美化するわけでも何でもありませんが、少なくとも事実は事実として心に刻んでおく必要があると思いました。
ちなみに、この作品はテレビドラマ化されていますが、稲葉リカは新垣結衣さんで、これがとてつもなくぴったりだなという印象を持ちました。ナイスなキャスティングです。
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/07/27
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 67回
- この商品を含むブログ (104件) を見る
今月の読書 4冊
1月からの読書 17冊