りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

外資系金融の終わり

昨日まで少しディープな本を読んでいたので、今日は別の視点で。藤沢数希さんの「外資系金融の終わり」を読みました。必然的な方向かもしれませんが、ある意味目から鱗でした。金融機関は大きなインセンティブで優秀なトレーダーを雇い、大きなリスクをとって利益を上げ、損した時は公的資金で救われる。リーマンショック後、莫大な公的資金、つまり血税を使って金融機関を救済しておきながら、実はトレーダーは過大なサラリーをもらい続けていたのは周知の事実。国民の怒りは収まらないが、優秀なトレーダーを雇い、大きな収益を上げるためには、その過大なサラリーなど微々たる投資だったということ。しかし、この結果として巨大金融機関に対する規制の強化が進んでいる。規制・監督当局は、大きすぎてつぶせない(too big to fail)金融機関を温存し、その上で自分たちの権限を強めてより上の立場から監督するという、自らの権益を温存かつ従来のやり方を大きく変えない選択をしている。ボルカー・ルールバーゼルⅢそしてG-SIHIsといった規制によって国際金融は、より強い規制、より少ない金融商品、より限定されたリスク、より多くの監督、そしてより少ない自由に突き進んでいるように見える。こうすることで、確かにつぶれることはないが、金融機関は大きな収益を期待できない公益企業のような存在に向かっている。であるなら、突出した個人は自ら組織を飛び出し、ヘッジファンドなどを設立するのは必然的な流れだという。
納税者を困窮させる巨大金融機関にリスクが集中する未来か、それとも暗黙の政府保証など何もない、無数のヘッジファンドや個人経営のブティック投資銀行にリスクが分散される未来なのか。世界が進むべき方向は、明らかであろうというのが本書の主題。確かに、素直に説得力がありました。

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々

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