りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

組織は合理的に失敗する 日本陸軍に学ぶ不条理のメカニズム

菊澤研宗さんの「組織は合理的に失敗する 日本陸軍に学ぶ不条理のメカニズム」を読みました。大東亜戦争における日本陸軍の不条理な戦闘行動を人間の限定合理性に基づく新制度派経済学を用いて分析するというアプローチはなかなか興味深かったです。この新制度派経済学を構成するのは、取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論の3つで、取引コスト理論とは、すべての人間は限定合理的であり、しかも人間は相手の不備につけ込んで悪徳的に自己的利益を追求する機会主義的傾向があるという前提のもと、互いにだまされる可能性があるため弁護士を仲介させるなど、さまざまな取引コストが発生するという理論である。エージェンシー理論では、モラル・ハザードとアドバース・セレクションが問題となる。すなわち、利害が不一致で情報の非対象性が成り立つようなエージェンシー関係ではエージェントは、プリンシパルとの契約を破り、隠れて手を抜き、そしてサボりだすといった非倫理的なモラルハザードを起こす可能性がある。また、アドバース・セレクションとはたとえば保険の場合、健康を偽って加入してくる保険加入者を見込んで値段を設定すると、値段が割高になり、結果その値段でも見合う=不健康な人しか申し込んでこなくなるという現象である。最後の所有権理論とは所有権を明確にするような制度を構成するコストよりも、その制度によってもたらされるベネフィットが多い場合だけ、そのような制度が構成されるという理屈である。どれも非常に説得力がありましたが、正直ちょっとくどいように感じました。でも、面白くてためになる本でした。

組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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