りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

世界経済危機日本の罪と罰

下関です。月曜日に知り合いに勧められた、野口悠紀雄さんの「世界経済危機 日本の罪と罰」を読みました。非常に良い本です。この本のコンセプトは、米国サブプライムローンに端を発した世界的金融危機の共犯者としての日本とサブプライム問題は対岸の火事ではないという事実。結果、日本経済がかつてない重大な試練に直面しているという事なんだと思います。日本、中国そして産油国は貿易収支でアメリカに対して巨額の黒字を記録し、それによって得たドルをアメリカに(資本取引を経由して)投資したことになります。超金利政策と為替介入による円安の継続が「円キャリー取引(円を借りてドルで運用する取引)」の増大や日本の輸出を増大させ、こうしてアメリカに流れ込んだお金が、結果としてアメリカ国内の住宅バブルや金融バブルを増殖させたというものです。この危機を終結させるものがアメリカの経常赤字の縮小であるなら、それは具体的に日本の貿易黒字の縮小を意味し、日本はマイナス成長を余儀なくされるというものです。非常に説得力がありました。ちょっと衝撃的だったのは、円ドルレートの水準。購買力平価ベース(あるいはビッグマック指数)で考えると、1ドル60円〜80円くらいが妥当な水準だという事実。現実はプラザ合意前の円安水準と同等らしい。まだまだ調整が終わっていないということでしょうか。調整が終わっていないという意味では、株価も同様かもしれません。株価収益率で見た場合、まだまだ株価の調整は終わっていないという見方もできるということです。Don't catch a falling knife, or you'll end up getting hurt!「落ちてくるナイフをつかんではいけない」ということですね。あとひとつ。デカップリングという言葉。今まではアメリカが落ち込んでも中国やインドは繁栄するという意味で使われていたと思いますが、現実にはアメリカ全体がマクロ指標で落ち込んでも、一部のハイテク企業(グーグル、アップル、マイクロソフトなど)は成長するという意味で、アメリカ国内でデカップリングが起こっているということ。さすが、アメリカは底力があるというか多様性の国だと思います。

世界経済危機 日本の罪と罰

世界経済危機 日本の罪と罰

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今月の読書 14冊