りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

「昭和」を点検する

まだ、読了していません。
昭和史の大家保阪正康さんと半藤一利さんの対談です。昭和史に係る対談、鼎談の類の本は文春新書からいくつか出版されていて、「昭和陸海軍の失敗」「昭和の名将と愚将」「あの戦争になぜ負けたのか」「昭和史の論点」「二十世紀日本の戦争」などがあり、どれもなかなか面白いです。
この本の特徴は、「ありふれた言葉で昭和史を読む」というところで、ありふれた言葉として「世界の大勢」「この際だから」「ウチはウチ」「それはお前の仕事だろう」「しかたなかった」の5つのキーワードが上げられています。これ自体は面白い試みだと思いますが、つまり雰囲気に流されるというところと、本にもありますがいずれも「受け身」の言葉というところに特徴があるようです。

細かな論点は別途記述するとして、非常に思ったことは、日清・日露に勝利して、国民的雰囲気として「勝つことが当たり前」というような雰囲気が醸成されたことと、そういう雰囲気の元、軍部としてもそうした国民の期待に応えなければならないというプレッシャーから、無意味に強気な積極論が出てきたんではないかなと思わせるところです。昨今、世界を揺るがしているサブプライム問題に起因した米国の金融危機。つまるところ、金融は儲かるという期待が醸成され、それに応えようとしたために金融工学を駆使した複雑な仕組債でリスクをわからなくする(裁定を生じさせる)。そんな歪んだ市場が形成されたことと何か根っこが同じような気がしてきました。雰囲気、期待感というのは実に凄い力を持っているなと思います。

「昭和」を点検する (講談社現代新書)

「昭和」を点検する (講談社現代新書)