りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

米リーマンブラザース破綻、そしてAIGに公的資金の注入

サブプライムローンに端を発した米国の金融危機は加速度を増している。
16日にリーマンブラザースが経営破綻、17日には保険最大手のAIGにも公的資金が注入された。
3月に証券5位のベアー・スターンズ資金繰りで行き詰まり、官民挙げた救済。
7月以降には住宅金融公社の危機。米政府は総額2000億ドルの公的資金投入枠で対応。
しかし、直後にリーマン株が急落、経営破綻に追い込まれ、次いでAIGを揺さぶった。
一見場当たり的に見える公的資金の注入にも、いくつか理由があるらしい。
キーワードはCDS(Credit Default Swap)。債務保証のような保険商品だが、異なるのは保険料の部分が金融商品として機関投資家の間でやり取りされるもの。原則は相対取引。格付けの低い債権を組み合わせた債務担保証券CDO)などの証券化商品の元利保証を投資家に約束したのがこのCDSAIGのような格付けの高い会社が後ろ盾になることで、商品の信用力を高める効果があった。
サブプライムローン問題で、AIGには投資家から多大な保証金の支払いを求められたため、経営が悪化。これに伴う格付けの格下げで、AIGは現金担保の追加を求められ資金繰りが悪化というシナリオをたどった。
慶應大学の池尾教授が、18日付日経新聞の経済教室で面白い意見を展開していた。
金融活動の利益の源泉は裁定型金融とバリューアップ型金融があり、金融資本市場の自由化が開始された1980年以降、金融市場は裁定型金融で利益を上げる余地が大きかったというのだ。さらに、金融技術革新により各種リスクに新たに価格が付くようになり、米国の投資銀行はまさにデリバティブ市場の開拓し、創業者利益を稼いで来たというのだ。
しかし、裁定が成功すればゆがみは解消され、裁定取引でそれ以上の利益は上げられないのは自明。収益機会は枯渇していく。一方で、米国の金融サービス産業には高収益を求める圧力が掛かりすぎた結果、取引の際、適切な情報を与えない、ある種詐欺的行為(不正取引)が横行するようになった。サブプライムローン問題はこうした背景に生まれてきたというのだ。買ったときよりも高く売るために、金融商品や取引内容を複雑化し、リスクの過小評価をもたらすような取引が行われたというのだ。そして、冷静にリスクを判断すべき投資家にも高収益を享受した慢心から、リスクの過小評価に荷担する傾向があった。これがサブプライムローンのひとつの見方なのだろう。ものの売り買いだけでは新たな価値は生まれない。結局、そうした当たり前の論理が、資産価格の調整を生んだわけだ。
背景には常に高収益を期待する人間の欲が渦巻いているわけですね。やっとなんとなくすっきりする答えに行き着いた気がしました。