りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

人魚の眠る家

 東野圭吾さんの「人魚の眠る家」を読みました。さすがです。今回のテーマは臓器移植、あるいは人の死について。先端技術が障碍者のサポートをすることは素晴らしいことだし、そうした仕事をしている人が、その仕事に誇りを持つのは当然のことと思う。そして、その技術を脳死の患者に適用したら・・・まるで生きているように体を動かす。表情も作られる。体を動かすことで肉体的な健康にも寄与する。でもそれは生きていることなのだろうか。ここまでは、単に面白い見方だなと思っただけだったけど、その後は一転して臓器移植を待つ側の視点に切り替わり、改めて脳死を考える。待つ側は待つ側で、客観的に見れば人の不幸を待つ形になるのだけど、決してそれを望んでいるわけではない。むしろ臓器提供に合意できない家族の気持ちも配慮している。全然合理的でないのだけど、合理的でなくて良いのだという第三者の見方も提示する。そして、人が人の死を受け入れる瞬間。技術がここまで発達した今、死とは何なのか、死を受け入れるとはどういうことなのか、そういうことを改めて考えさせられる作品でした。

人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)

 

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