りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

王とサーカス

 米沢穂信さんの「王とサーカス」を読みました。米沢さんの作品は以前「満願」という短編集を読んだときに、それぞれの結末にちょっとした衝撃を受けましたが、長編は長編でやはり意外な結末が待っていました。この作品は「このミステリーがすごい!2016年版(宝島社 国内編)」「週刊文春 ミステリーベスト10(国内部門)」「ミステリーが読みたい!2016年版(早川ミステリマガジン 国内編)」で1位を獲得した評価の高い作品でしたが、ミステリーとしての謎解きというよりはジャーナリズムに対する問題提起のような社会派小説の側面も強いかなという印象を受けました。なるほど、タイトルの「サーカス」にはそんな意味があったのか・・・「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」殺されたラジェスワル准尉の言葉だ。ジャーナリストは読者に「飽きられる前に次の悲劇を供給」している、サーカスの座長のようなものということですね。ジャーナリストが信じる、記事が真実を伝え世界を変える力があるというより、ジャーナリストが書く記事は単なるサーカスの出し物に過ぎないということでしょうか。この小説の犯人は実際に殺人を起こした殺人者ではなく、殺された死体をジャーナリズムへの批判として利用しようとした少年ってことですね。そういう構図は読み終わるまで判りませんでした。深いです。そして面白かったです。

王とサーカス (創元推理文庫)

王とサーカス (創元推理文庫)

 

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