りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

日本人が忘れた日本人の本質

 山折哲雄さんと高山文彦さんの「日本人が忘れた日本人の本質」を読みました。目次を書くとわかりやすいのですが、第1章 天皇と日本人、第2章 原発と震災、第3章 近代の融解(メルトダウン) 日本人が喪ったもの、第4章 近代の夢から覚めて ~情へ、第5章 土に還る 日本人の死生観、という構成。天皇のこととか、天皇家水俣病の関係とか初めて知ったことも有ったけど、正直こういう見方もあるのかという、どこか冷めた目線で読んでいましたが、第5章の日本人の死生観については、とても考えるものがありました。ここで紹介されている岡潔という数学者の思想についてはいずれじっくり取り組まなければならない。道元の「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり」という歌は「人と自然の一体感を忘れることなかれ」ということらしいけど、やはり日本人としてはこれが響いてしまう。3つだけ引用。

・もともと日本的な意味で言う「神=カミ」は、キリスト教のような人格をもった「ゴッド」ではありません。「カミ」は「ゴッド」ではなくて、万物=「モノ」に宿っているパワー(霊・霊威) のことです。「モノ」は人類学的・社会学的に言うと森羅万象。すべての事物に籠もっている命・霊は目に見えません。だから普遍的なものなんです。日本人は目に見えないそういう力に非常に敏感な民族なんです
・日本列島には、古くから生活の場に息づく祖霊信仰がありました。生者と死者の関係が極めて近いと言ってもいいのではないですか。だから、どうやって死者を祀ったらよいか、慰めていったらよいのかについては、われわれの伝統文化のなかに、しかるべき作法があったわけですよね
・死んだ人は神になって、そんなに遠くないところに留まってわれわれを見守っていてくれる。だからわれわれはそれに感謝し、祈りをささげることによって、自分たちの集落はこれからも守られていくと考えてきた。死者と生者が交流するなかで共同体を守ってきたと思うんですね。

そして、最後は岡潔の言葉。

岡潔は、「自然は心のなかに在る」と書いています。つまり、宇宙というコスモスの秩序のなかで万物が生かされていることを、自分の心の内部をみつめて自覚せよという意味ですよ。

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