りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

ラスト・レシピ

個人的には「三度目の殺人」を抜いて、今年一番良かった映画となりました。

現代の孤高の料理人佐々木充に1930年代に天才料理人山形直太朗が作った幻のフルコース「大日本帝国食菜全席」を再現してほしいという何とも不思議な依頼から物語が展開する。山形直太朗は西島秀俊、佐々木充は二宮和也。レシピを考案する背景には1930年代の満州国という国の実際と、満州国に夢と希望をもって渡った人間とはこんなものだったかと感じさせる壮大さを感じさせられた。そう、理想に燃える山形の姿は、満州国を夢の大地と考え、多民族が分け隔てなく交流する希望を西島さんが上手く演じていた。本題であるレシピ作成の過程では、山形直太朗の料理に掛ける執念、やがて山形の信頼を得る鎌田、楊がいて、妻千鶴がいろいろな意味でそれを支える。当然ながら、千鶴は宮崎あおいさん。この役は彼女のために用意されたような役だ。宮崎あおいにピッタリだし、他は考えられない。素晴らしい役どころだったと思う。こういうところが、日本の映画らしい心の触れ合いのようなものを感じさせてとても良かった。滝田洋二郎監督は、「おくりびと」とか「天地明察」の監督なのだけど、これらの作品には共通点が無いようで共通点があるような気がする。見たときに日本の映画だなと感じさせるところ。日本人の心の機微が表されているようなところなのかもしれない。

さて、この一見変哲な依頼。佐々木がこの依頼を受ける背景には明確な意図があって、物語のラストはそこにつながるわけだけど、1930年代の作りに比べると現代はやや拙速感があったかもしれない。せっかくニノを使っているのに、何かあんまり深さを感じなかった。でも、良かった。最後は涙がこぼれました。

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ほぼラストに近いところで、ちょっと涙してしまいました。眼鏡を外してハンカチを当てたのだけど、後で奥さんから「私もいい映画だと思ったけど、泣くところが違うな」といわれました。奥さんから聞いたシーンはわたしもグッと来たのだけど、自分は山形直太朗と違って奥さんにプロポーズしたときのことをあまり覚えていないので、むしろそんなことを考えてしまった・・・という次第でした。大事なことは忘れてはいけない。