窪美澄さんの「よるのふくらみ」を読みました。正直、小説読んでいる場合ではなかったのだけど、twitterで見た書評が気になって読んでしまいました。圭祐、裕太の兄弟と圭祐と同棲しているみひろの3人を中心とした話。各章ごとに語り手が変わる展開。主人公は最初はみひろのようであり、最後は圭祐だったような気がする。
圭祐は夜の営みができない問題を抱えていて、結婚を約束したみひろとの関係がギクシャクしてきたところから物語は始まる。みひろには明確な性欲があるわけなんだけど、それは当たり前だけど誰でもいいから抱かれたいというようなものではない。家庭生活にはそういうものが普通にあって、それが全てではないけれど、そういうピースが足りない家庭というものを描けなかったのかな。逆に圭祐は実は小心者の優等生であり、自分のできない部分を隠して、別の形の幸せを作ろうとしたところに無理があったような気がする。別れて大阪に転勤になった圭祐は、職場の先輩に連れられて風俗へ。そこでも何もできないわけだけど、そこで知り合った風俗嬢の京子は、仕事でそういう関係に飽きていることもあり、そういう関係なしの心の繋がりを許してくれる存在でもあった・・・というと、簡単すぎるかな。窪美澄さんの作品は「ふがいない僕は空を見た」以来なのだけど、彼女が書くこういうテーマの小説は読むものを引き付けるような気がしました。書評を読んだ時とはちょっとイメージが違ったけど面白い作品でした。
[DATA]
今月の読書 11冊
1月からの読書 29冊