君たちが知っておくべきこと

 佐藤優さんの現役灘校生に対して行った講義録でもある「君たちが知っておくべきこと」を読みました。全体は3部構成。実際は3回、時期とメンバーを替えて実施したものらしい。「真のエリートになるために」「戦争はいつ起こるのか」「僕たちはナショナリズムから逃れられない」。それにしても、灘校生のレベルが高く、またとても知的刺激を受ける内容でした。

1.真のエリートになるために
・ダラダラ長時間やるんじゃなく、正確に覚えてその結果を出せるよう訓練を積むことはすごく重要
・アメリカ的な教養とヨーロッパ的な教養の違いっていうのは、実はすごく大きい。一級の国際的な教養を身に着けようと思う場合には、これはやはりヨーロッパであり、ギリシャの流れを汲む学問に触れる必要がある
・アカデミーとは何かといったら、神学に代表される合理性に反する中世的な教養を捨て、自然科学のような実用的で新しい教養に重点を置いた教育機関のことです
・人間が持つ一番重要かつ効果的に複雑性を縮減するメカニズムは「信頼」だというのがルーマンの仮説。信頼によって、相当程度、判断する時間と過程を省略できる
・大民族出身の人は、複雑なコンプレックスを抱えながらも自分たちの思いを言語化できない少数民族の気持ちはわからない。そもそも、「自分たちがわかっていない」こともわからない。
・人にはそれぞれ育ってきた文化による拘束性がある。それがあるから、他人の気持ちを理解することは口で言うほど簡単なことではないのです
岡田尊司「マインドコントロール
・人の気持ちをどうやって理解できるかという問題は、相手だけなく自分とも向き合わないといけない。特に思考の鋳型にはめられている人にとっては心理学的な知識が必要となってくる
2.戦争はいつ起きるのか
・「日米開戦の真実 大川周明著『米英東亜侵略史』を読み解く」
・「数学」「論理」「哲学史
 野矢茂樹「論理学」「論理トレーニング101題」
・信頼関係をつくるべース→「約束を守る」「できない約束をしない」
反知性主義は必ず決断主義という形で表れてくる=「細かいことはいいから、俺の言う通りやれ」
3.僕たちはナショナリズムから逃れられない
・民族的なマージナルにいる人というのはアイデンティティの危機を持っている。こうした複合アイデンティティを持つ人は極端にナショナルな方向に振れる傾向がある
・実は中身のない話というのが世の中には非常に多い。そして、そういう発言の背後に潜んでいるのが反知性主義なのです
 「私が最も尊敬する外交官 ナチス・ドイツの崩壊を目撃した吉野文六」
・人間は嫌いで意味がないことは、絶対に記憶に定着させられない。逆にいうと嫌いであっても意味があると思えば覚えられる
・アメリカ人は人の気持ちを読むのが非常に苦手なんだ。何故かというと強すぎるから。最終的には力で解決しちゃうから
・政治家や官僚というのは、日常的にポジショントークで戦略的発言をせざるをえない仕事です
あとがき
・日本の社会では。すぐ圭角や感情を表に出す人物は絶対に出世できない
・どのエリートも自ら生まれ育った国家と民族の文化から離れて生きていくことはできない。エリートは、自分を拘束している文化を理解し、それに適応した行動をするときに、初めて現実に影響を与えることができる

君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話

君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話

 

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