りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

言ってはいけない 残酷すぎる真実

橘玲さんの「言ってはいけない 残酷すぎる真実」を読みました。別に意識していたわけではないのですが、先日の「ビックデータの残酷な現実」と重複する部分もあったように思います。こちらの方は、必ずしもビッグデータ分析ではなく、むしろ学術論文やそのデータによる裏付けが多いですが。持って生まれたもの、というのはある意味どうしようもない(教育や環境では変えられない)という現実はそうとして、最後の方に子供はグループの中で自分のキャラを見つけるというのはなんか目から鱗な感じがしました。確かに、本来リーダーとなるべき人が他のリーダーがいる環境では違うキャラで埋もれていたり・・・必ずしも子供に限らないのかもしれないなと思いました。しかし、利己的な遺伝子というか、進化心理学というか・・・とても説得力があり、大変興味を持ちました。ハイライトしたのは以下。ただ、自分の政治信条は絶対に(米国的な)リベラルではないし、(米国的に)リベラルな考え方も好きではないのだけど、そのようなリベラルであることが道徳的には正しいと刷り込まれていたような気がします。道徳的に・・・という表現が適切なのかは判らないけど、「残酷すぎる真実」は真実なのだと思いました。

・論理的推論能力の遺伝率は68%、一般知能(IQ)の遺伝率は77%だ。これは、知能のちがい(頭の良し悪し)の7~8割は遺伝で説明できることを示している。
統合失調症の遺伝率は双極性障害躁うつ病)と並んできわめて高く、80%を超えている(統合失調症が82%、双極性障害が83%。
優生学が間違っているのは「精神病は遺伝する」と主張したからではなく、その論理が精神病者に対する差別と偏見を前提にしているから
犯罪心理学サイコパスに分類されるような子どもの場合、その遺伝率は81%で、環境の影響は2割弱しかなかった。
・言語性知能は家庭環境の影響を強く受けるものの、それを除けば、一般知能の8割、論理的推論能力の7割が遺伝で説明できるなど、認知能力における遺伝の影響はきわめて大きいのだ。
・幼児教育はたしかに子どもの学力を向上させるが、その効果は就学後1年程度で消失してしまうのだ。
・ジェンセンは知能を記憶力(レベルⅠ)と概念理解(レベルⅡ)に分け、レベルⅠの知能はすべての人種に共有されているが、レベルⅡの知能は白人とアジア系が、黒人やメキシコ系(ヒスパニック)に比べて統計的に有意に高いことを示した。
・白人と黒人のあいだにはおよそ1標準偏差(白人の平均を100とすると黒人は85)のIQの差があり、これが黒人に貧困層が多い理由だと述べたのだ。
・IQが同じであれば、黒人は白人の2倍以上、知的職業に従事できる)。
アシュケナージ系ユダヤ人だけがなぜ高い知能を持つようになったのか?彼らのIQは平均して112~115くらいで、ヨーロッパの平均(100)より1標準偏差ちかく高いのだ。アシュケナージは「ドイツの」という意味で、ライン川沿いのユダヤ人コミュニティを発祥とし、その後ポーランドやロシアなど東欧諸国に移り住んでいった。アシュケナージ系の高い知能は、ヨーロッパにおけるきびしいユダヤ人差別から生まれたのだ
アジア系アメリカ人のIQが白人よりも高いことを指摘していた。
セロトニンは、脳内の濃度(セロトニンレベル)が高いと楽天的になり、レベルが下がると神経質で不安を感じやすくなるとされる。このセロトニンを運搬するトランスポーター遺伝子には、伝達能力が高いL型と伝達能力が低いS型があり、その組み合わせでLL型、SL型、SS型の3つが決まる
・日本人の場合、約7割がSS型で、LL型は2%と世界でもっとも少ない。これが、日本人にうつ病や自殺が多い遺伝的な理由だとされている。・・・不安感と引き換えに高い知能を手に入れた。
・東アジアの国々で封建的な政治・社会制度が発達し、きびしい規律の組織が好まれる理由とも考えられる。
・白人と黒人のあいだにはおよそ1標準偏差(白人の平均を100とすると黒人は85)のIQの差があり、これが黒人に貧困層が多い理由だと述べたからだ。
・アメリカの経済格差は知能の格差だ。
スーパーZIPに住む新上流階級はマクドナルドのようなファストフード店には近づかず、アルコールはワインかクラフトビールで煙草は吸わない。
・21世紀になって、アメリカ社会に大きな変化が訪れた。それが富の二極化で、新上流階級はいまや庶民とはまったく異なる文化を生きている。
・多くの最貧困女子を取材した鈴木は、そこには「3つの障害」があるという。それは精神障害発達障害知的障害だ。これは現代社会の最大のタブーのひとつで、それを真正面から指摘したことは高く評価されるべきだろう。
・「3つの障害」によってつき合うのが面倒くさく、「仲間」から排除されるからだ。
・日本社会は(おそらく)人類史上はじめて、若い女性が身体を売りたくても売れない時代を迎えたのだ。
・税金を投入して高等教育を無償化したところで、教育に適性のない最貧困層の困窮はなにひとつ改善しないだろう。その代わり、知識社会に適応した高学歴層(教育関係者)の既得権がまたひとつ増えるだけだ。
・「知識社会」とは、知能の高い人間が知能の低い人間を搾取する社会のことなのだ
・女性は生涯に産める子どもの数に上限があるから卵子はきわめて貴重で、相手の男性を強く選り好みするように進化した。それに対して男性は精子の生産コストが低く、機会さえあれば何人でも子どもをつくることができる──これが、時代と場所を問わず権力を握った男がハーレムをつくろうとする理由だ。
・子殺しの特徴は、進化の観点からすべて理解することができるのだ
・赤ん坊殺しの背後には、それによって繁殖度を高めようとする進化のプログラムが隠されているのだ
・夫婦間での殺しの大半は夫の嫉妬が原因だ。妻ももちろん嫉妬することはあるが、それを理由に夫を殺すことはほとんどない。妻が夫を殺すのは正当防衛か、父親の虐待から子どもを守るのが理由だ。
・心拍数の高い子どもは、非行に走ったとしても大人になれば更生するのだ。
・幼少期における自律神経系の恐怖条件づけ機能の障害が、成人犯罪を導く因子として作用し得ることを示唆している。
・犯罪(の一部)が治療可能な病気であることを示している。
・妊娠中の喫煙は胎児の脳の発達に悪影響を及ぼすばかりでなく、高い攻撃性や行為障害を引き起こすことが知られている。
・アルコールは、胎児の脳の機能そのものにも重大な影響を与える。
・アルコールの胎児への影響はきわめて深刻で、アフリカ系アメリカ人の母親を対象にした研究では、妊娠期間中、週にたった1杯のアルコール飲料を摂取しただけで子どもが攻撃的になったり、非行に走ったりする確率が上昇した。
・出生後の栄養不良、とりわけ亜鉛、鉄、タンパク質の不足が脳の発達を阻害し、認知能力(IQ)を低下させて反社会的行動を導くこともわかっている。
・無表情の写真からも内面をある程度知ることができることだ。
・研究者は知性を表わす手がかりとして、視線と美しい顔立ちを挙げている。
・話しているときに相手の目を見るひとは、知的な印象を与えるばかりか、実際に知能が高い。
・平均的な容貌で、全体のバランスがよく好感が持てると、ひとはそれを知性に結びつけるのだ。
・面長の顔と幅の広い顔を見せられたとき、後者を攻撃的と判断する。そしてこの直感は、男性に関してはかなり正確だとわかっている
・男性の顔の幅はテストステロンの濃度に関係しているのではないかと考えている。
・人差し指と薬指の長さのちがいは、テストステロン値が高いほど大きくなる
・あらゆる社会に共通する美の基準は顔の対称性と肌のなめらかさで、女性の体型で重要なのはウエストのくびれだ。
・美貌を5段階で評価し、平均を3点とした場合、平均より上(4点または5点)と評価された女性は平凡な容姿の女性より8%収入が多かった。それに対して平均より下(2点または1点)と評価された女性は4%収入が少なかった。容姿による収入の格差はたしかに存在するのだ
・顔の長さに対して幅の広いCEOのほうが会社の収益が高いことが分かった。
・精力的な男性は高齢になってもテストステロン値が下がらず、ビジネスでも性生活でも現役のことが多い。
・女の子は生まれつき人間の顔に興味を持ち、男の子は生得的に動くものに興味を持つのだ。
・親や教師が「男の子らしい」あるいは「女の子らしい」絵を描くように指導したからではなく、網膜と視神経の構造的なちがいによって、色の使い方や描き方、描く対象の好みが分かれるからだ。
・男性の脳の特徴は「システム化」で、女性の脳は「共感」に秀でていると述べた
・教育が「女らしさ」を植えつけるという(広く信じられている)この仮説は、大規模な社会実験によっても否定されている。
・「男はモノを相手にした仕事を、女はひととかかわる仕事を好む」というキブツの大規模な社会実験の結果は、男女の志向のちがいが(男性中心主義的な)環境ではなく、脳の遺伝的・生理的な差から生じることを示している。
・「利己的な遺伝子」は性交、出産、授乳、子育てに多大な報酬を与え、それによって生じる幸福感から「母性愛の錯覚」を生み出し、後世により多くの遺伝子を残そうとしているのだ。
・最新の遺伝学や脳科学の知見は、男と女では生まれつき「幸福の優先順位」が異なることを示唆している。男性は競争に勝つことに満足を感じるが、女性の場合、家庭と切り離されると人生の満足度が大きく下がってしまうのだ。
進化心理学は、「女は女らしい仕事をすればいい」とか、「女性は家事・育児をするように進化した」と主張するわけではない。私たちの社会に必要とされているのは、男女の性差をイデオロギーで否定するのではなく、両者のちがいを認めたうえで、男も女も幸福な人生を送れるような制度を目指すことだろう。
・共学では、こうした「社会圧力」が望まない妊娠へとつながっていくのだ。・・・女子校の女の子は、性的な意思決定に対して自律性を保てるようになる。
・男の子と女の子の性差が生得的なものであるならば、男女平等の社会をつくるためにこそ、男の子と女の子を別々に扱う必要があるのかもしれない。
・人間には、「幼年時代を共有した異性には性的関心を抱かない」という本性が埋め込まれているのだ
・コスト(費用)─ベネフィット(便益)構造のちがいから、オスはできるだけたくさんのメスと交尾しようとし、メスは貴重な卵を最大限有効に使うために生殖相手をえり好みするようになるはずだ。
・ヒトには、乳幼児が独り立ちするのにきわめて長期の養育が必要になるという、もうひとつの際立った特徴がある。この場合メスは、遺伝子の優劣だけでオスを選択するわけにはいかなくなる。
・男性のペニスと性行動は、その特徴的なかたちとピストン運動によって、膣内に溜まっていた他の男の精液を除去し、その空隙に自分の精子を放出して真っ先に子宮に到達できるよう最適化されているのだ。
・幼馴染に性的魅力を感じないのがウェスターマーク効果で、ボノボやチンパンジーでも、ヒトでも、これは遺伝的に不利な近親交配を避ける進化の仕組みだ。
・育った家庭にかかわらず一卵性双生児の性格は同じくらいよく似ているのだ。
・家庭環境が子どもの認知能力に影響を与えるのは、子どもが親の言葉を真似る言語性知能だけだ。
・子どもの人格や能力・才能の形成に子育てはほとんど関係ない、ということだ
・家庭が子どもの性格や社会的態度、性役割に与える影響は皆無で、認知能力や才能ではかろうじて言語(親の母語)を教えることができるだけ。それ以外に親の影響が見られるのはアルコール依存症と喫煙のみだ。
・わたしは、遺伝と非共有環境によって「わたし」になる。
・子どもの個性や能力は、子育て(家庭環境)ではなく、子どもの遺伝子と非共有環境の相互作用によってつくられていく。そしてこの過程に、親はほとんど影響を与えることができない。
・両親は、母語を話そうが話すまいが、食事や寝る場所など最低限の生活環境を提供してくれる。子どもにとって死活的に重要なのは、親との会話ではなく、(自分の面倒を見てくれるはずの)年上の子どもたちとのコミュニケーションだ。
・子どもにとって「世界」とは友だち関係のことだと考えた。
・子どもたちは、自分に似た子どもを優先的に世話しようとするのだ。
・最初はわずかな遺伝的適性の差しかないとしても、友だち関係のなかでそのちがいが増幅され、ちょっとした偶然で子どもの人生の経路は大きく分かれていくのだ
・子どもは自分のキャラ(役割)を子ども集団のなかで選択する。・・・子どもは友だちとの関係のなかで自分の性格(キャラ)を決めていく。どんな集団でも必ずリーダーや道化役がいるが、2人のリーダー(道化)が共存することはない。キャラがかぶれば、どちらかが譲るしかない。このようにして、まったく同じ遺伝子を持っていても、集団内でのキャラが異なればちがう性格が生まれ、異なる人生を歩むことになるのだ
・この実験で興味深いのは、彼らが無意識のうちに、自分たちを敵対する集団と正反対のキャラクターにしようとしたことだ。
・ヒトのオスが遠い祖先から受け継いだ遺伝的プログラムは、世界を内(俺たち)と外(奴ら)に分け、仲間同士の結束を高め、奴らを殺してなわばりを奪うことなのだ。
・ラリーが「変わった」のは、その高校でたった一人の黒人だったからだ。・・・もしも複数の黒人生徒がスラム街から転校してくれば、彼らはたちまちグループをつくって白人の生徒たちと敵対しようとするだろう。
・英才教育を受けた神童も、幼少期に友だち関係から切り離されたことで自己をうまく形成することができず、大人になると社会に適応できなくなり、せっかくの高い知能を活かすことなく凡庸な人生を終えてしまうのだ。
・「親は無力だ」というのは間違いだ。なぜなら、親が与える環境(友だち関係)が子どもの人生に決定的な影響を及ぼすのだから。
・親のいちばんの役割は、子どもの持っている才能の芽を摘まないような環境を与えることだとハリスはいう。
・治安の悪化が叫ばれる先進国はどこも犯罪が大きく減っている。
憲法表現の自由が定められているのは、ひとが嫌がる言論を弾圧しようとした過去の反省によるものだと思っていたのだが、〝リベラル〟を自称するひとたちの考えはちがうらしい。

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

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