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なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?

 松村嘉浩さんの「なぜ今、私たちは未来をこれほどに不安を感じるのか?」を読みました。この本の主張は、あとがきに整理されている。「成長しないと辻褄が合わない中、成長しない世界に逆らい、無理な成長を求めて、ついにはマネタイゼーションに向かおうとしている。これは極めて危険なことで、国家の破綻を招くかも知れない由々しき事態である。我々は、この事実を真摯に受け止め対応すべきである。日本人の民度と英知が試されているいってよいだろう。」というもの。漠然とした不安をうまく整理してくれていると思う。マーカーしたのは以下。

・なぜ、みんな《漠然と不安》なのかというと、まったく《新しい時代》にいるのに、今までどおりに生きようとする既得権益層が世の中を歪めているからなのですよ」
・デジタル革命は〝情報〟の革命です。なので、人間の〝脳〟の機能を、さらに高速の処理能力のある機械で代替していきます。言ってみれば人間そのものを機械が代替していく革命なのです。
・デジタル革命による社会の高度化は、これまで以上に教育コストの増大を生んでいく可能性が高いのです。勝ち組になるには、機械に負けず機械を管理する高度な知能が必要なのですから
・モノがあふれた結果、《モノに対する欲望が飽和する新しい時代》が来ているということが考えられます。
・「先進国つまりは工業化された国のための食料や原材料の生産地にさせられ、逆に猛烈に資本投下されて開発された結果、めちゃくちゃに社会や経済が歪んでしまったわけです。これを〝低開発化〟といいます」
・近代世界システム論においては先進国になっていった地域を〝中核〟と呼び、〝低開発化〟された地域を〝周辺〟といいます。近代世界システム論の考えでは〝中核〟に従属する〝周辺〟といったように世界的な分業体制ができていて、世界が1つの経済圏に統合されたまとまったシステムとなっているので、すべての国はその構成要素にすぎないのです。
ヘゲモニー国家は、面白い事実ですが、同じような発展と崩壊のパターンを描くのです。第1段階は農業や工業が優位になって生産力が高まり、第2段階は商業が発展し、最後に金融業が発展していくという具合です。この順番で発展して、崩壊するときも農業や工業が競争力を失い、商業がダメになって、最後に金融が残るという具合です。
・低開発化〟された〝周辺〟は〝中核〟とは異なる道を歩んでいるので、同じような成長をすることはできないのです
・低開発化〟というのは、〝中核〟が支配しやすいように、〝周辺〟の社会秩序を壊してしまうことです。
・世界経済が成長の限界を迎え、成長しない《新しい時代》を迎えようとしているということなのです。
・このような状況をなんとかつじつまを合わせようとして、成長できない世界を無理やり成長させようとしたり、無理なリターンを生み出そうとしたりして、社会が歪んでしまうのです。その結果、人々はこれで大丈夫なんだろうかと不安に襲われるのです。これが、我々が襲われている《不安の正体》なのです
・全体の利益を考える〝モラル〟が、成長しない〝定常型社会や経済〟を行なうためにはすごく大事だし、経済的な利益の追求よりも、学問や芸術といった精神的な世界の価値を大切にすることが重要になるというわけです
・成長しなくても分配を公平に行ない、社会全体と未来を考えるモラルであり、自然と共生し精神的な文化の豊かさに価値を置くことなのです。
・現実はもはや市場で売却できるような規模ではない国債を抱えているわけですから、日銀が自由に国債を市場で売ることは不可能です。
イスラムの世界はじつは他宗教に対して寛容です
・現在のアメリカのやっていることも、実際には中東の石油利権が絡んでいるのに、それを覆い隠す〝正義〟を掲げて戦争しているので、十字軍と同じロジックというわけですね
・契約を破れないので、一神教の民族は他の神様を信じる民族とは仲良くできない傾向があります。
イスラム教は一言でわかりやすく言えば、ヨーロッパで拡大してヨーロッパ化したキリスト教を、本来の出身地である中東風に戻したものと言えるでしょう。
イスラム教はユダヤ教に似て、戒律主義になるわけです。
ミクロ経済学においては最適規模があるのに、新古典派マクロ経済学にはその制約がない、それはおかしいのではないか?
産油国は一部のスーパーリッチ層を生んだだけで、多くの人々は貧困層のまま取り残されているのです。
・おカネだけが余って、それに見合う投資案件がないということですね。その結果、無理なリターンを生み出そうとする圧力がかかりやすく、どこかにバブルを生み出しやすい環境になっているのです
・日本のバブルの崩壊も、人口動態のピークで発生しました。
・結局、リーマン・ショック後、なんとかしようとしてきたわけですが、またバブルを作ってその崩壊の危機を招いているわけです
・禁断の金融政策である量的緩和は、政府の銀行である中央銀行が、〝等価交換〟の原則を破って自らがリスクをとることなのです。

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