りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

論語と算盤

 渋沢栄一翁の「論語と算盤」を読みました。知れば知るほどに、渋沢栄一という人は凄かったなと思います。なかなか、たとえようのない凄さです。ちょっと引用が多すぎるかな。

・「士魂」を、書物を使って養うという場合いろいろな本があるが、やはり『論語』がもっとも「士魂」養成の根底になるものだと思う。では「商才」の方はどうかというと、こちらも『論語』で充分養えるのだ。
・「商才」というものも、もともと道徳を根底としている。
・『神君遺訓』をわたしが『論語』と照らし合わせて見たところ、とてもよく符合していくのだ。やはり大部分は『論語』から出たものだということがわかった。
・欧米諸国の、日々進歩する新しいものを研究するのも必要であるが、東洋古来の古いもののなかにも、捨てがたいものがあることを忘れてはならない
・「人間が勤めるべき尊い仕事は至るところにある。官だけが尊いわけではない」
・人が世の中を渡っていくためには、成り行きを広く眺めつつ、気長にチャンスが来るのを待つということも、決して忘れてはならない心がけである。
・才能の向き、不向きを見抜いて、適材を適所に配置するということは、多少なりとも人を使う立場の人間が常に口にすることだ。そして同時に、常に心のなかでむずかしさを感じている事柄でもある。
・人は平等でなければならない。しかもその平等は、ケジメや礼儀、譲り合いがなければならない。
・国家が健全な発達を遂げていくためには、商工業においても、学術や芸術、工芸においても、また外交においても、常に外国と争って必ずこれに勝って見せるという意気込みがなければならない。
・「どんなに頭を悩ませても結局、天命(神から与えられた運命)であるから仕方がない」  とあきらめがつくならば、どんなに対処しがたい逆境にいても、心は平静さを保つことができるに違いない。
・進むことばかり知って、身の丈を守ることを知らないと、とんだ間違いを引き起こすことがある。
・人はその出処進退――仕えるときと辞めるときの決断が大切なのだ
・得意なときだからといって気持ちを緩めず、失意のときだからといって落胆せず、いつも同じ心構えで、道理を守り続けるように心掛けていく
・「名声とは、常に困難でいきづまった日々の苦闘のなかから生まれてくる。失敗とは、得意になっている時期にその原因が生まれる」
・「小さなことは分別せよ。大きなことには驚くな」
・受付や帳簿つけといった与えられた仕事を、そのときの全生命をかけてまじめにやれない者は、いわゆる手柄を立てて立身出世の運を開くことができないのだ。
・まず自分の頭を冷やし、その後に、自分の長所とするところ、短所とするところを細かく比較考察し、そのもっとも得意とするところに向かって志を定めるのがよい。
・自分がその志をやり遂げられる境遇にいるのかを深く考慮することも必要だ。
・成果をあせっては大局を観ることを忘れ、目先の出来事にこだわってはわずかな成功に満足してしまうかと思えば、それほどでもない失敗に落胆する
・強い意志のうえに、聡明な知恵を持ち、これを情愛で調節する。さらに三つをバランスよく配合して、大きく成長させていってこそ、初めて完全な常識となるのである。
・勉強の心を失ってしまえばその人は進歩や成長がおぼつかなくなる。と同時に、そんな勉強をしない国民によって支えられる国家は、繁栄も発達もやはりできなくなる。
・机にすわって読書するだけを学問だと思うのは、まったく間違っている。  要するに、普段の行いが大事なのだ。
・生活のなかから学ぶ心がけを失わないよう心掛けて欲しいと思うのである。
・本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではないと考えている。
・強い思いやりを持って、世の中の利益を考えることは、もちろんよいことだ。しかし、自分の利益が欲しいという気持ちで働くのが、世間一般の当たり前の姿でもある。社会のためになる道徳だけでは、世の中の仕事というのは、少しずつ衰えてしまうものなのだ。
・現実に立脚しない道徳は、国の元気を失わせ、モノの生産力を低くし、最後には国を滅亡させてしまう。
・「道理をともなった富や地位でないのなら、まだ貧賤でいる方がましだ。しかし、もし正しい道理を踏んで富や地位を手にしたのなら、何の問題もない」  という意味なのだ。
・「まっとうな生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けをせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい」
・「高い道徳を持った人間は、自分が立ちたいと思ったら、まず他人を立たせてやり、自分が手に入れたいと思ったら、まず人に得させてやる」
・お金を大切にするのはもちろん正しいことだが、必要な場合にうまく使っていくのも、それに劣らずよいことなのだ。よく集めて、よく使い、社会を活発にして、経済活動の成長をうながすことを、心ある人はぜひとも心がけて欲しい。
・「理解することは、愛好することの深さに及ばない。愛好することは、楽しむ境地の深さに及ばない」
・その人が何を実践しているのかを見、その動機を観察して、その結果が社会や人々の心にどのような影響を与えたのかを考えないと、人の評価などできないと思う。
明治維新の豪傑のなかで、知らないことは知らないと素直にいって、まったく飾り気のない人物が西郷さんだったのだ。
・自分を磨くことは理屈ではなく、実際に行うべきこと。だから、どこまでも現実と密接な関係を保って進まなくてはならない。
・「人の一生は、重い荷物を背負って、遠い道のりを歩んでいくようなもの、急いではならない。  不自由なのが当たり前だと思っていれば、足りないことなどない。心に欲望が芽ばえたなら、自分が苦しんでいた時を思い出すことだ。耐え忍ぶことこそ、無事に長らえるための基本、怒りは自分にとって敵だと思わなければならない。  勝つことばかり知っていて、うまく負けることを知らなければ、そのマイナス面はやがて自分の身に及ぶ。自分を責めて、他人を責めるな。足りない方が、やりすぎよりまだましなのだ」
・知恵や能力がきちんと発達しているからこそ、物事に対してよし悪しの判断ができ、生活を豊かにしていけるから
・どんな仕事にもかかわらず、商売には絶えざる自己開発が必要なのだ。また、気配りも続けなければならない。進歩はあくまでしていかなければならないが、それと同時に悪意の競争をしてはならないことを、強く心に留めておかなければならない。
・社会に多くの利益を与えるものでなければ、正しくまともな事業とはいえないのだ。
・自分の思い通りにならない子供をすべて親不孝だと思ったなら、それは大きな間違いなのだ。
・「子供に孝行させるのではない、親が孝行できるようにしてやるべきだ」
・「将来は、どのような専門学科を修めるべきなのか」  という確かな目的を決めておくことが必要になってくる。
・多くの場合、善良な女性からは善良な子供が生まれ、優れた婦人の教育によって優秀な人材ができるものである。
・仕事には誠実かつ一所懸命取り組まなければならない。そして同時に、そこには深い愛情がなければならない。
・知恵ある者は、自分の運命を作るというが、運命のみが人生を支配するものではない。そこに知恵が加わって、初めて運命を開いていくことができるのだ。
・普通の人は往々にして、めぐりあった運命に乗っていくだけの智力が欠けている。
・成功したにしろ、失敗したにしろ、お天道さまからくだされた運命にまかせていればよいのだ。こうして、たとえ失敗してもあくまで勉強を続けていけば、いつかはまた、幸運にめぐまれるときがくる。
・成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。
・自分の意見とは相反する情報まで徹底して集めて、冷静にそれを使いこなしたので、広い視野をもとにした絶妙のバランス感覚が発揮できた、
・当時の政府を取り仕切っていた利通は、今は新しい国づくりをしている時期なので、当然出費は増えざるを得ないという立場をとっていた。財政のバランスは後でとればよいと考えていたのだ。一方、栄一や彼の上司だった井上馨は、財政を任された立場である以上、財政規律を欠いた支出には賛同できず、真っ向からぶつかっていたのだ。
・岩崎の話をだんだん聞いて見ると、結局、彼と栄一で大きな富を独占しようという結論になる。栄一の考え方とは正反対だ。栄一は自分一人が金もうけをする気は毛頭ない。いろいろな事業をおこして、大勢の人が利益を受けると同時に、国全体を富ましてゆきたい念願なのである。栄一は合本法(株式組織)の道義的運営によって、富は分散さるべきものだ。独占すべきものではないと主張する。

現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

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