りおパパの日記

徒然なるままに。ドトールのコーヒーが好きです。

北一輝について整理する

北一輝について、昭和史発掘からの知見を整理しておきたい。引用の引用になるが、田中惣五郎は、満州事変から、二・二六事件にわたる北一輝のおもな事業を次のように整理している。1)青年将校グループには「国家改造法案」を語って青年の情熱を燃え立たせ、2)政界上層部には「国家対策」を進言することで戦争をすすめ、3)財界人には青年将校の動きをばらして献金をすすめ、4)足を運ぶのは大官の邸であり、足を運ばせるのは西田を通じての青年将校グループ。5)そして朗誦するものは法華経。その法華経朗誦も、多くは「霊告」を打ち出すためのものが多かった。ということらしい。これに対する、松本清張氏の解説は、単に北の行動だけでなく著作を見るべきとし、代表作「日本改造法案大綱」(これが青年将校に多大な影響を与えた)とその原案とも萌芽ともいわれている「国体論及び純正社会主義」について触れている。北のいう「純正社会主義」とは、「個人主義の覚醒を承て僅少にして平等なる監督者を賢明なる選挙法によりて社会の機関たらしむる者なり」という結論で、社会主義への道は普通選挙によって開かれるという思想である。そして、その理想とするところは「資本家間のみの合同を更に全社会の大合同に来たらしめ、私人の権利たる生産権を国家の目的と利益とのためにする公権となし、個性発展の競争と公共心の痛烈なる動機によりて全社会を驚くべく富有ならしむることにあった。・・・結局のところ生産権の公有であり、それは国家の目的と利益に所属する。そして、運営は国民が選挙した監督者の合議によって行われるというもの・・・らしい。
で、北の著作を読んで感化された青年将校たちの考え方は、「独占資本的な財閥が私利私欲を追求するために社会的な欠陥を招いたとし、それは政党がこれらの財閥の援助を受けて庇護し、日本の国防を危うくする政策を行っているからだとの考えで、そのような政党を支持している重臣層も天皇を誤らせるものと判断していた。そして、絶対天皇制の下に重臣層・政党・財閥を排し、軍部を媒体として天皇制と国民を直結する「天皇親政」を理想としていた。ということですね。
やっと、二・二六事件の理論的首謀者北一輝の理想と決起した青年将校たちの考え方が理解できてきたような気がしてきました。

全然関係ないですが、昨年10月から放映していた「不毛地帯」は今日が最終回でした。「白い虚塔」のときのようなインパクトはありませんでしたが、それなりにしんみりとした最終回で、良い終わり方だったかなと思いました。