今年初めての出張です。高松。
移動の飛行機の中で、小池真理子さんと村上龍さんの共著である「美しい時間」を読みました。といっても、それぞれが美しい時間をテーマに小説を書いたというものらしく、両者の作品はまったく独立です。小池さんが「時の運河」、村上さんが「冬の花火」です。どちらも、らしい作品でした。「冬の花火」にはノートしておきたくなる台詞がありました。
「・・・日本人って、常連だから注文はまかせてよって勝手に注文する人がまだ多いでしょう。でもあの人は、必ず招待した人の好みを聞くのを忘れない人だったね。きらいなものある?ってそのくらいのスタンスで気配りできる人はいるけれど、絶対に外さないものある?って聞く人は、まだそう多くないはずですよ。ぼくはこのお店のおいしいものを全部知っているけど、でもあなたが好きなものはそれとは関係なくオーダーしましょうって、それはあなたのことを尊重しますよっていうことだからね。実はそれが大切なんだけど、なかなか気づかないんだよね」
「・・・ぼくは、これまでの人生に後悔など無いと思っていた。しかし、一人で花火を見たときに、妻と一緒に冬の花火を見たことがないと、気づいた。花火はとてもわかりやすい。花火は一瞬で消えるが、ぼくたちに一体感のようなものを刻みつける。ぼくたちは、誰かとともに花火を見ることで、その人と同じ感情を共有していると気づく。妻と一緒に冬の花火を見たことがなかった、そのことに気づいたとき、本当はきっと数え切れないほど多くの、決して取り返しの付かないことをやり残しているんだろうと、そう思った。・・・」
いいですね。
- 作者: 小池真理子,村上龍
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/12/04
- メディア: 文庫
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今月の読書 1冊